こんにちは、吹奏楽.comです。
チューナーという、音程を合わせるための小型の機器が学校にあったり、または自分用のものを持っているという人も多いと思います。
だんだんと小型化され安価になってきて、誰でも手に入れやすくなりましたが、数十年前は結構大きくて、値段も高かったようです。
現在はチューナー単機能のものでしたら数百円から手に入りますし、スマートフォンなどの無料アプリでも、チューナーやメトロノームのアプリがここ数年でたくさん出ています。機能的にも遜色なく使えます。
他人と一緒に練習するときや、全体合奏などでは、一人一人の音程が合っていないと聴き苦しいので、便利なチューナーを使って練習前に音程を合わせていることでしょう。

音程を表す基準となるものを「ピッチ」と言います。
チューナーを使うときに、ピッチを合わせるボタンがあります。
機種にもよりますが「CALIB」などと書かれているボタンで上下させて、「442Hz」に合わせることが多いと思います。
「CALIB」は「Calibration(キャリブレーション)」の略で、規格や基準を「調整」することを意味します。
「ピッチ、442でいいよね」などという会話をすることもあると思いますが、「442」って何のことでしょうか?
442は442Hzのことで、「Hz」は、ヘルツと読みます。ヘルツは「周波数や振動数の単位」です。
音の高低は振動のスピードで測ることができて、早く振動すると高い音、ゆっくり振動すると低い音になります。
音を、1秒間に何回振動するかで表した単位が「ヘルツ」です。
1秒間に442回振動すると言われても、速すぎてなんだかピンと来ませんよね。

基準となる音は、世界的に「ラ」の音と決められています。
ト音記号の真ん中あたりの「ラ」の音です。ピアノの全鍵盤のだいたい真ん中あたりの「ラ」でもあります。
人間が聴こえる高い音や低い音など、様々な音のだいたい中くらいの音が、そのピアノの真ん中あたりの「ラ」の音とされています。
吹奏楽部の人は(実音の)「A(アー)」と呼ぶ人も多いかもしれません。
ドイツ読みで「A(アー)」は、英語だと「A(エー、エイ)」で、ややこしく思っている人もいると思いますが、このお話は別の機会にします。
その「ラ」の音が、だいたい442ヘルツなのです。
音程の微妙な違いを合わせるにも、基準になる音を決めないと始まらないので、それを「ラ」の音で合わせていて、ヘルツで言うと440ヘルツ〜444ヘルツくらいを「ラ」の音として使っているのです。
ちなみにト音記号の低い「ド」の音は、だいたい262ヘルツくらいです。
もっと言うと、例えば真ん中の「ラ」の音を440ヘルツに合わせた場合、1オクターブ下の「ラ」の音は220ヘルツ、1オクターブ上の「ラ」の音は880ヘルツになります。
「半分」とか「倍」ということに気づくと思います。
ちなみにフルートの1オクターブ上の音域のピッコロは、フルートのだいたい半分の長さです(楽器の長さ)。
トランペットの1オクターブ下の音域のトロンボーンは、管の長さはトランペットのだいたい2倍です。
なんとなく音と振動の関係がわかってきましたでしょうか。

「442と440の、その2の違いは何なの?」
などと思いながらチューナーを使っている人もいることでしょう。
今の音楽の基本のようなものが固まってきた17世紀〜18世紀頃のヨーロッパでは、この基準となる音程「ピッチ」は、地域や時期によってかなり幅広いものでした。
Aの音(ラの音)で、なんと370ヘルツ〜560ヘルツくらいの差があったそうです。半音とか全音とかのレベルをはるかに超えた違いです。
電車も飛行機もなかったとは思いますが、演奏旅行なんてしたら、さぞかし演奏面でのトラブルがあったことでしょう。
18世紀の中頃には、だいたいA=415ヘルツくらい(現在ではラのフラット=Asくらいの音)に落ち着いてきましたが、まだまだ地域差など大きかったようです。
学者さんはこんなことも調べられるんですね。
それにしても楽器を作る人は大変だったことでしょう。
管楽器にしろオルガンにしろ、場所が変わったら音が合わなくて使えません、なんて言われたら悪夢のようですよね。
それからだんだんと基準の音程「ピッチ」は統一した方がいい、という考えが多くなってきて、同時にピッチは少しずつ高くなり続けました。
でも20世紀に入って多くの音楽家が遠くの国へと行き来するようになっても、まだピッチは国や地域によって不安定な状況でした。
そして1939年に、万国規格統一協会(ISA)という団体がロンドンで行なった国際会議で、「どの国もA=440ヘルツにしましょう」という基準が決められたそうです。
この万国規格統一協会(ISA)は、のちに国際標準化機構(ISO)となって、現在でも存続しています。
「この工場はISO〜を取得しています。」などという、あのISOです。

はぁ、一件落着、良かった良かった。
「あれ?今440じゃなくて、442で合わせてますけど??」
そうですよね、皆さんはA=442ヘルツで合わせていることが多いと思います。
この「ピッチ問題」は、世界的にも、また日本国内でも、21世紀になった今でもまだ続いている問題なのです。
長くなってしまいましたので、続きは次回にお話ししようと思います。
みなさんの日々の生活が、音楽で豊かになりますように。
