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スケールの大きい演奏は感動的です

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こんにちは、吹奏楽.comです。

時代が最近になればなるほど、作曲家が楽譜にテンポなどの細かい指示を書き込むことが多い、ということを以前にお話ししました。

強弱についても同じで、そもそも17世紀頃までは楽譜に演奏時の強弱については書き込まれていませんでした。
音楽の歴史上、楽譜に初めて強弱が書き込まれたのは、イタリアの作曲家ジョヴァンニ・ガブリエリ(1554年頃〜1612年)の「ピアノとフォルテのソナタ」という曲だと言われています。

現在では金管楽器8人で演奏されることの多いこの曲は、吹奏楽をやっている人がアンサンブル・コンテストなどでもよく演奏するので、聴いたことや演奏したことのある人もいると思います。
強く演奏する部分と弱く演奏する部分を効果的に使い分けてあって、響きのコントラストが美しい曲です。
そして楽譜に強弱が明確に書き込まれた、音楽史の上でも重要な曲です。

おなじみのピアノという鍵盤楽器は、「フォルテピアノ」という楽器がその前身です。
もっと昔の鍵盤楽器、チェンバロ(クラヴサン、ハープシコード)は、演奏時の強弱がほとんど付けられない楽器でした。
その後18世紀頃に、強弱が付けられるという画期的な発明から「フォルテピアノ」と名付けられた鍵盤楽器が生まれて、それがだんだん改良されて現在のピアノになっていきます。
名前からは「フォルテ」が抜けた形ですね。
やはりより良い演奏をするには、強い部分と弱い部分の両方を使いたい、という気持ちがあったのでしょう。

時代が古い音楽ほど、テンポや強弱、演奏する楽器までかなりの自由度がありました。
「テンポや強弱なんて、演奏する人がその時の状況で決めればいいんじゃね?」
というような、暗黙のルールがあったんだと思います。

最近になればなるほど、テンポも強弱も楽器の指定も、何から何まで細かく指示されていることが多いです。
20世紀前半の偉大なハンガリー出身の作曲家ベラ・バルトーク(1881年〜1945年)は、楽譜への強弱の指示をかなり細かく書き込んでいます。
通常の強弱以外にもmpp(メゾピアニッシモ)やmff(メゾフォルティッシモ)という、あまり一般的ではない強弱記号まで使っています。

ここまで来ると強弱の扱いが、本当にオーディオのボリューム的な感じがします。
その割に代表曲の「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」という曲は、タイトルに入っていないピアノが大活躍する曲ですし、弦楽器を左右に分けてダブルオーケストラのような配置にする指示まであって、そんな特徴的なことをタイトルに反映してない点など、細かいのか正確でないのかイマイチ謎の部分もあります。
作曲家や編曲者は気まぐれなところも多いにありますし、よく考えて演奏しないとおかしな感じになることもあるので、演奏者は常に注意と洞察力が必要です。

例えば楽譜に「solo(ソロ)」と書いてあって、強弱が「p(ピアノ)」というようなことはよくあります。
実際にはソロを弱い音量で演奏すると聴こえにくいので、けっこう大きな音で演奏しなければならないようなことがあるのです。
ソロ以外のバックで演奏している人の人数が多い時などは、そういったケースに当てはまることが多いです。

「p(ピアノ)」って書いてるから弱く演奏したのに…
というように、楽譜に書かれている強弱をただ鵜呑みにしてしまうと、イマイチな演奏になってしまうことがあるのです。

打楽器や金管楽器は大きい音が出やすい楽器なので、楽譜に「ff(フォルティッシモ)」と書かれていても、本当にフォルティッシモで演奏するとうるさすぎることもあります。
tutti(トゥッティ、全員で演奏するような時)の箇所などでは、全員がフルパワーで演奏すると、木管楽器の音をかき消して音量バランスの悪い演奏になったりします。

極端な話、mp(メゾピアノ)よりもp(ピアノ)の方を大きい音量で演奏するようなことは、いくらでもありえます。
強弱が逆転しているようですが、常に周りの状況と音量バランスなどを考えて、最適な音量を探らないといけません。
単なる強弱という部分以外にも、「p(ピアノ)=優しく」とか「f(フォルテ)=力強く」といった、楽想的な面もイメージして演奏すると、さらにいいと思います。

吹奏楽部を顧問の先生が指導している場面で
「メロディは強めに、伴奏は弱めに」
というような教え方をしているのを見かけることがあります。
絶対に間違いとは言いませんが、ちょっと雑な感じがします。

メロディをかき消すほど、メロディ以外が強すぎるのは明らかに音量のバランスが悪いですが、メロディと伴奏だけというような単純な音楽はそんなにないと思います。
いろんな声部がそれぞれに最適な音量バランスで聴こえてくるのが、良い演奏です。
どこかが出すぎたり、どこかが埋もれたりしないようにするのがポイントです。

優れた音楽ほど、無駄な音がありません。
一つの音楽の中で、いろんな声部が同時に聴こえてくるので、飽きないですし何度でも聴きたくなります。
優れた作曲家はそれぞれの声部がその時々で最適に聴こえるように、楽譜に強弱を書き込んでいます。
演奏者はそれをよく読み取って、どの程度の強弱が最適なのかを考えながら演奏していくと、全体が素晴らしい演奏につながっていきます。

音量のバランスはもちろん大切ですが、そもそもの強弱の幅もなるべく広く取れるようになると、スケールの大きい演奏に近づけます。
中学高校の吹奏楽部から、だんだんとプロフェッショナルの演奏を間近で聴くような機会が増えてくると、フォルテの力強さが全く違うことに最初は驚きました。

素晴らしい演奏家のf(フォルテ)は、すごい音量なのに全然うるさくなんかなくて、音色も素晴らしいです。
そんな演奏を聴くと、自分のそれまでの強弱のイメージはなんだかチマチマとしていて、井の中の蛙だったような気がして恥ずかしくなりました。

日頃はどんな人でも狭い部屋で練習することの方が多いですが、なるべく広いコンサートホールのようなところで演奏する自分をイメージしながら練習するといいと思います。
狭い部屋では自分のf(フォルテ)に満足してしまいがちなので、まだまだなダイナミクス(強弱の幅)ということに気づけません。
時には目をつむって、天井が高くて広い素晴らしいコンサートホールに今自分はいる、と思い込んで音を出してみましょう。

一人一人がスケールの大きい演奏ができるようになってくると、全体ではさらに素晴らしくダイナミックで感動的な演奏になります。

みなさんの日々の生活が、音楽で豊かになりますように。

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