こんにちは、吹奏楽.comです。
メトロノームというものは、楽器を演奏しなくても知っている人が多いほどありふれた物ですし、学校や部室にも当たり前のように置いてあると思います。
楽器を練習する際に非常に効果的なものですが、あまり上手く活用できていなかったり、ほとんど使っていないような人も見かけます。
あまり使わない人の理由は、おそらく縛られているような感覚が好きじゃなかったり、「なんかわずらわしい」「面倒くさい」などと思ってしまうからでしょうか。
メトロノームは楽器初心者が使うもの、と捉えられてることもあるようですが逆で、上級者ほどたくさん使っているように思います。
非常に便利で上達の手助けをしてくれる優れものなのですが、使う上では注意した方がいい点もあります。

実際の演奏では、メトロノーム通り正確無比なテンポでずっと音楽が進むことはありません。
誰でも無意識のうちにテンポの微妙な「伸び縮み」をしながら演奏をしていて、それは音楽にとって良いことなのです。
人間味のある、血の通った演奏は、音楽によって程度の差はありますが絶妙にテンポが伸び縮みしていて、皆が素晴らしいと思う演奏はそういったものです。
「ルバート」と言われるその伸び縮みを多めに演奏するような部分は、やりすぎると趣味の悪い音楽になってしまいますが、適度なルバートは聴いていて心地良く、またセンス良く演奏するには難しいところです。

マーチ(行進曲)のような一定のテンポでずっと進んでいるように思える音楽ですら、わずかにテンポは伸び縮みしています。
マーチには中間部に「トリオ」と言われる、少し音楽が優しい感じになる箇所が含まれていることが多いですが、ほとんどの場合トリオではわずかにテンポが遅くなります。
同じテンポで演奏しているつもりでも、無意識のうちに極わずかに「遅くしている」のです。
もし本当にまったく同じテンポで演奏したとすると、そのトリオ部分で違和感を持つと思います。
マーチを練習するときにメトロノームを使うと、トリオの部分で少し急いでいるような、せわしない感覚を持つと思います。
それは正常な感覚です。
「でもこれが正確なテンポだから」と思って練習しつづけて、そのテンポに慣れすぎてしまって、結果的にせっかくのトリオでの緩やかな表情がなくなっている演奏をよく耳にします。
マーチ以外の曲でもそうですが、音の強い元気な箇所などはわずかにテンポが速まって、逆に音の弱い優しい箇所などはテンポがわずかに遅くなることが多いです。
そうなった方が良い、と言うか自然にそういう演奏になると思います。

だとすると、表情豊かに演奏するにはメトロノームは邪魔なのでは?
と思われるかもしれません。
確かにルバートが多めのフレーズなどではメトロノームを使って練習することにほとんど意味はありませんが、そういう箇所は少ないと思います。
「実際にはテンポは微妙に変動する」ことを理解した上で、メトロノームを使って練習するのは、非常に効果的です。
メトロノームを上手く練習に取り入れるコツの一つは
「頻繁にテンポを変える」ことです。
ほんの少しテンポを変えることで、いろんなことに気付くと思います。
例えばマーチを練習するのに、ずっと「120」のテンポで練習するのではなく、トリオの部分では「118」に変えたりするのです。
また「120」でしばらく練習したら、今度は「121」にしたりします。
たった「1」の違いでも、演奏してみるとやりにくくなる箇所があったり、その逆もあったり、いろいろな気付きがあると思います。

最近は電子式のメトロノームを使うことの方が多いかもしれません。
電子式のメトロノームは「1」単位でテンポの指定ができますので、その点は非常に便利です。
ちなみに
「120の次は126にしかできないんですけど」
と言われることが時々あります。
多く出回っているヤマハ(コルグ)の、チューナーと一体型の電子メトロノームは、「TEMPO」の上下のボタン2つを同時に長押しすることで、「1」単位でのテンポの指定が可能になります(切り替えできます)。
意外に知らない人が多いので、そういう友達がいたら教えてあげましょう(取扱説明書にはもちろん書いてあります)。
他の機種でも「1」ずつテンポを変えることができる機種の方が多いと思います。
そのようにして、しょっちゅうテンポを変えて練習しましょう。
速くて難しいパッセージなどは、「1」テンポを変えることで、できたりできなかったりすることがあり、「1」の差を実感しやすいと思いまます。

振り子式(機械式)のメトロノームにも良い点はたくさんあるのですが、経年劣化などで数字的に正確でないことが多く、落としたことがあったり扱いが良くないと、左右均等に刻むこともできなくなります。
数人で練習する時などは振り子式のメトロノームの方が使いやすいことが多いかもしれませんので、学校にある場合は大事に扱いましょう。
電子式のメトロノームはたくさん種類が発売されていて、安価なものは1000円くらいから入手できますので、できれば自分専用の電子式メトロノームを購入した方がいいと思います。
他にもメトロノームの効果的な使い方で、フレーズの最後の正確さを増す、ということができます。
フレーズの最後のあたりは、無意識のうちにほんの少し遅くなってしまう人が多くいます。
少し楽器が上手な人や、丁寧に演奏しようとしている人ほど、この傾向がよくあるように思います。
フレーズの最後のあたりを、良い意味で正確なテンポで、変に間延びした感じにならないようにするためにメトロノームを使うのは、とてもいい使い方です。
悪い意味で機械的な、無表情な演奏になってはダメですが、豊かな表情を保ちつつ、ある程度正確なテンポで次のフレーズに繋げられるように、メトロノームを使って悪い癖を直しましょう。

あと、楽譜に書かれている作曲家が指定したテンポ、これも時に混乱を招く曲者(くせもの)です。
作曲家や編曲者にもよりますが、正確じゃなかったり、あまり役に立たないテンポ指定も多くあります。
このことについては、次回で考えてみたいと思います。
みなさんの日々の生活が、音楽で豊かになりますように。
